【まとめのまとめ】
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夫と出かけた先で、夫の
先輩だという夫婦と出くわした
女性の方が夫の先輩に
あたる方らしく、
研究のときには
アドバイスを貰ったり、
人脈を紹介して貰ったりと
とてもお世話になったそうだ
10年ぶりくらいの再会だそうで、
少しお茶をすることになった
お互い配偶者を紹介しあった
先輩は会社の役員の方の
紹介で半年前にお見合いをして、
三ヶ月のお付き合いの末
先月結婚したそうで、
まだ新婚さんだった
先輩と夫は昔話に花を咲かせ、
時々二人は私達に話が解る
ように説明もしてくれた
私は二人の話が面白かったけど、
先輩の夫は終始ムスッとしていた
話に夢中になっていると、
私の夫の携帯に電話が入り、
仕事先からだったようで席を外した
先輩は間をもたせるように
話しかけてくださった
その時の話が私の髪の長さについて
私の髪は胸元まである
くせ毛がコンプレックスで、
癖が出ない長さにまで
伸ばしたらこうなってしまった
だけど20代後半になると、
髪の傷みでまた癖が出る
ようになってしまい、
自力での長い髪の維持が
大変になった
そこで今はヘアサロンで月
5000円弱の
トリートメントを利用している
私はそんな話をしていた
先輩は聞き上手で私は
スラスラと話していた
「本当は髪に月
5000円なんて高い
んじゃないかと思ってるんです
切っちゃえばそんなお金も
必要ないですし、
夫は三ヶ月に一回QB
ハウスを利用できれば
いいって人ですから
私ばかりお金かかるのも気が引けて
それなら貯金して夫の
スーツでもフルオーダーで
一着仕立てられないかって
でも、夫は「俺も
くせ毛だから
コンプレックスはわかるし、
必要なことならお金かけて
いいんだよ」と言ってくれて
だから5000円かけて
トリートメントして、
頑張ってこの髪維持
しようって思ってます」
そんなことを照れながら話した
するとそれまで
ムスッとして黙っていた
先輩の夫が、
徐に口を開いた
「働いてない女って
5000円稼ぐのが
どれだけ大変なのかわかっ
てないよな」
私がフリーズしていると、
先輩が
「ちょっと!」と
言いながらテーブルを
叩いて止めようとした
しかし先輩夫は止まらない
「5000円もかけて
申し訳ないです、
なんて口にしながらも内心では、
5000円で我慢してる
ワタシって思ってるんでしょ?」
先輩が手で無理やり
止めようとすると、
それを振り切って
「金を稼ぐ大変さが解っ
てないから髪なんて無駄な
ものに毎月5000円も
費やせるんだ。
お前の選んだ女はハズレだな!」
と、
いつの間にか戻ってきた
夫に勝ち誇ったようにいい放った
先輩は即座に謝り、私が
困った顔で夫を見上げていると、
夫はニッコリした顔で
「妻は働くことの大変さを
よく知ってますよ。
だから貴重な5000円を
自分のためではなく、
僕のために使おうと言って
くれるんです」
と庇ってくれた
先輩も
「彼女は私の同業者よ!
さっき自己紹介したでしょ!」
と庇ってくれた
先輩の夫は、私の夫が
「兼業主婦で家事は頼り切ってる」
と話したのを
「専業主婦」と聞き
間違えをしていたらしい
「それでも髪なんかに」と
吐き捨て、
夫は
「僕は妻のこの髪が
好きなので何も問題ないですよ」
とピシャリと跳ねのけてくれた
先輩は平謝りしながら、
その場はお開きとなった
先輩は
「なんであんたは私の
友達にそう突っかかるの?
そんなに私から友達を奪いたい?」
とキレていた
言い方からして一度や
二度では無いと思う
先輩の夫は
「結婚したんだから俺
以外はいらないだろ」
と怒鳴っていて、夫が私を
庇うようにして別れの
言葉も告げぬままその場を離れた
先輩の話は夫からこれまで
何度か聞いたことがあったし、
実際に会ってみてとても
素敵な人だったから
どうしてあんな攻撃的な
男性と一緒になって
しまったのだろうと残念だった
夫も何か深く考え込んで、
帰りはずっと無口、私も
それ以上先輩のことには
触れられなかった
数日後、先輩から夫の昔
使っていたフリーメールに
謝罪のメールが届いた
内容は見てないけど、
夫が難しい顔をしていたので、
「力になれるなら手伝うよ」
と伝えたら夫は少し
弱々しく微笑んでいた
何事もなければいいなぁ
嫌な目に遭ったね
先輩もそんなことになっ
てて本当に気の毒
会社の役員もとんでもない
男を押しつけてきたもんだ
先輩が早く逃げられますように
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